カメロンの戦い〜第一章〜
現地の第一外人大隊の2個中隊は、ジャニングロ大佐( Colonel Jeanningros )より輸送隊警護の司令を受理した。
この後、ジャニングロ大佐は、インディオ(現地の情報提供者)から、輸送隊襲撃計画の情報を得る。
そのため大隊司令部では、ダンジュー大尉と副官が輸送隊経路の偵察の為、第3中隊を派遣することになった。
しかし、この時、同中隊の仕官が病気などで全員不在であり、中隊の指揮を執る者が誰もいなかった。
そのため、数々の戦地を潜り抜け、左手に木製の義手をつけたダンジュー自らが指揮に当たることとなった。
この状況により下士官から昇進した2人の士官、マウデ少尉(sous-lieutenant Maudet)が旗手になり、ヴィラン少尉(sous-lieutenant Vilain)と同行することになった。
30日午前1時
3人の仕官と62名の外人部隊兵が出発。目的地までは約20Kmの行程であった。
7時になったときパロ・ベルデ(PALO VERDE)にたどり着いた部隊は朝食を取るため大休止に入る。
が、そのとき、輸送隊の襲撃に向かうメキシコ部隊に遭遇!
第3中隊とメキシコ部隊は、直ちに交戦状態に陥る。
不意を突かれた形になり、戦局は外人部隊に完全に不利であった。
勝ち誇ったメキシコ軍の騎兵が突撃を仕掛けてくる中、ダンジューは、方陣を引きながら部隊を後退させてゆく。
外人部隊の完全なる敗走である。
撤退を繰り返し、外人部隊は、高地の宿泊所のあるカメロン(CAMERONE)にたどり着く。
そこには広大な庭を取り囲む、3mの高さの壁を備えた宿舎が立っていた。
防御陣を構築するには絶好の場所といえた。
ダンジューは、輸送列車襲撃から敵を引き止めるため、そこに部隊を終結させる。
メキシコ軍の狙撃を受けながら、あわただしく防御陣を築いてゆく・・・。
そんな状況の中、メキシコ側の仕官が高慢に、捕虜になるよう外人部隊に呼びかける。
それに対し、ダンジューは
「我々には、まだ弾がある、捕虜などにならない!」
と、メキシコ軍は目の前の部隊だけだと考えていた彼は、この申し出を断った。
さらに彼は、死ぬまで戦うということを外人部隊兵たちに誓わせたのだ。
しかし、ダンジュー達の目前の敵は先遣部隊であり、この後、メキシコ軍の歩兵部隊が合流したのである。
約60名の外人部隊兵に対し、約2千人の軍勢が攻撃態勢を整えていた・・・。